特徴
鳥取県の海岸線は約130kmに及ぶ広大なエリアで、その多くが砂浜の海岸となっています。江戸時代から明治時代にかけて、弓ヶ浜半島では地引き網や手繰網漁業が主体で、カタクチイワシなどが水揚げされていました。
この地域で使われる新鮮なイワシを活かした昔ながらの庶民の味が「いわし団子」です。イワシを包丁で細かくたたき、卵や具材を混ぜ、煮汁の中で火を通します。片栗粉やつなぎを混ぜなくても、ふんわりとした口当たりが楽しめるのが特徴です。
漁港ではマイワシやウルメなども水揚げされますが、イワシの種類によってもだんごの味がそれぞれ異なり、そのバリエーションが楽しい一品です。
鳥取県内の漁港では、4月から5月にかけてイワシ漁が最盛期を迎えます。春は木の芽を刻んで加えたイワシだんごが格別に美味しい季節とされています。
作り方
「イワシだんご」は、イワシを叩いたものに具材を入れて煮る料理です。中に入れる具材は様々で、ささがきごぼうや木の葉のみじん切り、しょうがや山椒などを加えても美味しいです。
弓ヶ浜半島では、炭酸が生臭みやアクを抑えるために、仕上げに炭酸を入れて作ることもあります。また、つみれ汁として食べることもあります。
・いわしは頭と内臓を取り、骨ごとぶつ切りにして包丁でよく叩く。
・すり鉢にいわし、味噌、溶き卵、酒粕を入れ、よくすり混ぜる。
・ごぼうはささがきにして水にさらし、アク抜きする。
・ごぼうを加えて混ぜ、8等分にする。
・鍋に水、だし汁の素、酒、みりん、塩を入れて火にかける。沸騰したら、かたちを整えて入れ、火を通す。
・器に盛り、お好みで木の芽、しょうが、柚子の皮などを添える。