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イギス

ところてんに似た食べ方をする海藻料理

イギスは、瀬戸内海沿岸に古くから伝わる海藻「いぎす草」を使った料理です。テングサを使う「ところてん」と似ていますが、海藻を全部煮溶かす点が異なります。

採取したイギス草は、夏の強い日差しで乾燥させます。雑藻などを取り除きながら水洗いと天日乾燥を3~4回繰り返し、クリーム色になったものを保存します。

イギスは、米のぬか汁や大豆のゆで汁を用いて煮溶かし、冷やして固めます。そのままからし酢味噌や酢醤油で食べたり、煮溶かした後に具やだし汁で味付けし、同様に固めていただくこともあります。イギス草の旬は4月から5月です。

特徴

「いぎす」とは、別名えごのりとも呼ばれ、いぎす草を使った料理のことです。飛鳥・奈良時代には既に、この料理が献上品として朝廷に贈られていたそうです。

いぎす草は春になると海岸に流れ着く海藻で、天草の一種です。細い糸状で先が鉤状に曲がり、ホンダワラの体枝に絡みついて20cm前後まで成長します。夏から秋にかけて繁茂し、中部地域や西部地域の漁港で水揚げされます。

採取後、いぎす草は夏の強い日差しで速やかに乾燥させ、雑藻などを取り除き、水洗いと天日乾燥を3回か4回繰り返して保存します。

「いぎす」は、凝固剤などを加えずに自然に固まる寒天やところてんと同じ原理の料理です。いぎす草を煮溶かし固めたものを基本とするこの郷土料理には、いぎす豆腐やえごねりなどがあり、他の地域でも見られます。

精進料理や祭り、節句、冠婚葬祭の料理としてもよく振る舞われ、正月や法事などと結びついています。

作り方

乾燥したいぎす草を戻し、とろ火で煮溶かし、容器に入れて固め、ごまを振りかけて酢味噌や辛子醤油、しょうが醤油でいただきます。ドレッシングや黒蜜をかけても美味しく楽しめます。いぎすの繊維が滑らかになるまで煮溶かすことがポイントです。

見た目はようかんに似ていますが、口に入れると海の香りが広がり、独特の触感を楽しむことができます。精進料理には欠かせない一品で、低カロリーかつ水溶性の食物繊維やミネラルが豊富です。

Information

名称
イギス

倉吉・三朝

鳥取県