概要
石谷家住宅は、江戸時代に鳥取藩最大の宿場町として栄えた智頭宿にある最大級の建物の一つで、智頭往来に面しています。敷地面積は約10,000平方メートルで、広大な池泉回遊式日本庭園を中心に40の部屋と7つの土蔵があります。
石谷家は、江戸時代から「塩屋」と称する商家で、明治以降は山林地主としても栄えました。この住宅は、江戸時代の庄屋建築を基に、大正8年(1919年)以降に当主の石谷伝四郎が改築しました。現在の主屋は伝四郎の死後、昭和3年(1928年)に完成し、さまざまな様式が調和した近代和風建築の傑作とされています。
建築
主屋は南を正面とし、入母屋造、桟瓦葺、2階建てで、桁行23.2メートル、梁間13.8メートルの規模です。1階は西側が土間、東側が居室で、土間は長大な梁を架け渡して2階まで吹き抜けの空間としています。
玄関棟は主屋の南面東寄りに接続し、南東には座敷棟、北東には家族棟が建ちます。敷地東側には日本庭園があり、西側には蔵が並んでいます。この住宅は良質の杉材を使用し、施工技術や意匠が優れていることが評価されています。
主屋の内部には美術工芸品が飾られており、鬼瓦や欄間は1921年(大正10年)頃に仏師の国米泰石が手掛けた作品です。7つの土蔵のうち4つは博物館や資料館として公開されています。
文化財
主屋など8棟と敷地は、2009年(平成21年)12月8日に国の重要文化財に指定され、玄関棟など5棟、関係文書および棟札が重要文化財の附(つけたり)として指定されました。また、庭園は2008年(平成20年)3月28日に国の登録記念物(名勝)に登録され、2010年(平成22年)1月14日に鳥取県の指定名勝にも指定されています。
石谷氏庭園
主庭は池泉庭園、枯山水庭園、芝庭で構成され、ほかに露地庭、中庭があります。2008年(平成20年)3月28日に国の登録記念物(名勝)に登録され、2010年(平成22年)1月14日に鳥取県の名勝に指定されました。